唐丹町「本郷の桜並木」
唐丹町の桜は釜石の「お花見の見どころ」の一つです。この桜は昭和8年(1933年)「昭和三陸津波」で甚大な被害を受けた旧唐丹村の復興を願い、昭和9年(1934年)春に植樹された約2800本のソメイヨシノです。その中でも「本郷の桜」は桜の回廊を形成し見事です。しかし残念ですが東日本大震災津波で多くの桜が失われてしまいました。津波以前、さらにその以前の桜の様子を「もっともっこりと咲いだもんだ。」と語るお年寄りたちの思い出に耳を傾けました。この日は満開の桜の下で「桜舞太鼓(おうぶだいこ)」が披露され、桜華颶美(はなぐみ)による手踊りが花を添えました。(令和6年4月14日(日)撮影)
植田医院 植田俊郎
少し前のことになりますが、昨年12月に全国330の圏域別に医師の充足度を示す偏在指標の新聞報道があり、釜石は330位となっていました。医師不足は身につまされていましたが、全国最下位とは驚きました。今国会にこうした医師の地域偏在の対策をまとめた医療法改正案が提出されていますが、その内容は、重点支援区域を設定してインセンティブをつけるとか医師の少ない地域での勤務経験を病院長になる条件にするとかで、実効性には疑問を感じます。岩手県では、奨学金養成医師が年々増えているとのことですが、釜石に配置される数は昨年より減るようです。既に釜石ではお産ができないなど医師不足からもたらされる様々な問題が指摘されていますが、精神科においても沿岸地域で精神科医一人当たりがカバーする面積は全国平均の12倍とされており(2022年)釜石厚生病院でも診療を維持できるギリギリのところにきています。
一方、団塊の世代が75歳以上の高齢者となるいわゆる2025年問題も待ったなしの課題で、日々実感させられています。外来受診や入院の多くが高齢者となってきており、提供すべき医療の質や病院の病棟構造から考え直さなくてはなりません。ただでさえ少ない医師はもとより看護師やスタッフも高齢になりつつあり、さらに医療のみならず介護の現場でも人手不足が深刻です。
こうした状況にどう対処していったらよいのか、悩みは尽きませんが、昨年より地域医療連携推進法人が、地域医療の充実と効率化を図り、慢性期医療体制を維持できるようにと準備が進められており、大いに期待を寄せるところです。これが医師不足の緩和にもつながればと願っています。もちろん、これだけで解決するものではありません。皆様方の良いお智慧とお力をぜひ拝借できればと思います。