背景色
文字サイズ標準

釜石医師会報

No.327 平成28年12月号

五葉山 賽の河原 初冬

 五葉山はご存知のように大船渡市と釜石市、住田町にまたがる花崗石の美しい山です。十数年まえの12月に標高712メートルの赤坂峠から緩やかな路をのぼると「賽の河原」へ到着、見回すとミズナラ・ミネカエデ・ダケカンバの樹林帯が初冬の雪にふっくらと包まれ鉛色の空に反映して魂に響き感動してスケッチしました。

岩井 利男

巻頭言

余震
植田 俊郎

 平成28年11月22日、地震があった。この日6時少し前に目覚め、玄関に新聞を取りに行ってダイニングに戻った時「ぐらっ」と来た。最近の揺れと比べると大きくはないが、揺れた時間が長いように感じた。テレビをつけると福島沖を震源とする地震で津波警報が発令されており、大槌には6時30分頃1mの津波が到達するとのことだった。3.11の予報6mではないし、実際の18mでもなさそうなので少し安心したが、実は5年たった今も水門も防波堤も未完成である。土盛りをして県道が整備されただけの、以前暮らしていた町方地区が心配になった。保育園、幼稚園、小中学校、高校は休校となり、職員からはお休み、避難中、遅刻の連絡電話が入ったが医院の玄関は開けることにした。なにかあれば避難所として機能すると思ったからだ。
 この地震津波は東日本大震災津波の余震だという。震災後6年目を迎えた我が町が、3.11の余震に恐れをなし、あの記憶が生々しくよみがえる。この町にはまだ癒えぬ現実が存在している。

(C) Kamaishi Medical Association All rights reserved.