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釜石医師会報

No.302 平成24年10月号

写真「秋彩」 故 渥美進先生作

渥美先生とは八幡平へ数度ご一緒いたしましたが、その際の写真と思われます。澄み切った空気と、ひんやりとした風の音さえも感じさせる、さすが二科展入賞者の名作です。
聖書に「一粒の麦もし死なずば」(ヨハネ伝第12章)と言う言葉がありますが、まさしく渥美先生は昇天なされても、その作品は私たちに永遠に語りかけてくれるでしょう。
どうか進先生・久子先生安らかにお眠りください。

岩井 利男

巻頭言

「 雑 感 」
神林医院  神林 敦彦

震災500日が経ち、2度目の夏がやってきました。

表向きは、人々の暮らしも落ち着いてきたように感じられるこの頃。

県外の友人や知人から心尽くしのお中元が届き、お礼の連絡をすると、皆さん一様に「復興は進んでいるか?町は賑やかさを取り戻しているか?」と聞いてこられる…今もなお、建物が解体されている現状、町の復興計画もまだ始まったばかりで、「まだまだ時間がかかりそうです…」と答えるのが精一杯だ。

現地に来た人は、テレビなどの映像とは全く違うと言い、そのあとの言葉を失う人も多い。

津波を見ていない私も、未だ現実感がわかない時があるから、遠くの人は尚更であろう。

まずは出来る事、するべき事をしていくしかないが、これからもたくさんの課題が出てくることだろう。

先日は総理大臣も視察においでになったようだ。「釜石の奇跡」とまた言われるように頑張ってもらいたいと話しているのをニュースで見たが、「復興庁も作ったし、頑張りなさい」と何か他人事のようなトーンに聞こえたのは、私だけだろうか…。

視察をして、何を感じてくれたのだろうか?何か人間味のある言葉がほしかったと思う。

とにもかくにも、今回の震災被害でたくさんの市町村が町づくりに取り組んでいる。町づくりに何年後に完成というのはないとは思うが、希望を持って見ていきたい。

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