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釜石医師会報

No.300 平成24年6月号

櫃取(ひつとり)湿原

5月13日(日)、「そろそろ櫃取湿原の水芭蕉が見頃だよ。」との情報を得て、仲間と出かけました。櫃取という地名は代々の南部公のヒツギの材料を調達したという言われがあるようです。牧場奥にある湿原は素晴らしく、そっとしておきたい存在です。そして尾瀬にも負けない岩手の自然を誇らしく思いました。

植田 俊郎

巻頭言

「学校健診実施以前に検討すべきこと」
岩井 利男

昨年の東日本大震災に際して、釜石地区の学童、生徒の津波による直接的な死者はありませんでした。特に全国的に有名になったのは、「つなみてんでんこ」でした。これは津波の際には各自自主的に判断して避難せよということで、各自が勝手に逃げろということではありません。日常から家族で話し合って、地震の際の避難方法や避難場所を決めておき、お互いに戻って家族を探す危険性を排除した決め方です。この実施のためには数回にわたっての教育と実地訓練とが必要となります。釜石市では、数年前からこれを教育し、見事津波の際に、東中学校生徒が鵜住居小学校の低学年の子の手を引いて逃げている写真が全国に報道され、またNHKでは釜石小学校生徒が災害時浸水地域に下校していたにも関わらず自主的に「てんでんこ」に高台に避難し、しかも家族や障碍者も助けたという184名のエピソードの報道は、宮城県の大川小学校と比較して強烈な印象を投げました。学校保健会では、健康に関する点での教育指導は勿論ですが、今までに3500年間に7度来襲した大津波への対処法、「つなみてんでんこ」学習訓練が喫緊に優先すべきと思います。

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