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釜石医師会報

No.297 平成23年12月号

五葉山黒岩山頂の凍れる月

私は健康な時は10数年前から、毎年正月2日に五葉山に登っておりました。その雄大さと烈風の雪煙に圧倒されながらも、生かされている証の実感と素晴らしい絶景とを網膜に刻み込むために歩んでおりました。その際のスケッチです。

岩井利男

巻頭言

震災時の医療連携
堀 晃

震災当時、釜石医師会の開業医は19施設(大槌町に6施設),病院は5施設ありました。震災にて開業医は釜石地区にて7施設、鵜住居地区にて2施設、大槌地区にて6施設が被災。これは開業医の約80%にあたります。

病院も県立大槌病院、釜石のぞみ病院は津波により被災。西部にあった県立釜石病院も地震により病棟が使えなくなり大変な状況に遭遇しました。

特に大槌地区、鵜住居地区は津波により医療機関全て流される大きな被害を受けましたが、震災直後から自分達が避難した場所で医療活動行っていたことには敬服いたしました。

特に被災から数日間は頼りになるのはかかりつけ医です。今回の被災時にその場所にて薬剤師会、市職員、行政等と連携を取り情報を共有しながら対応したのは、介護在宅診療部会を通じ医師会・歯科医師会・薬剤師会の3師会を中心とした行政と介護施設との連絡網と顔と顔の付き合いが普段から行われていたため、お互いのやるべき事をやった結果と思われます。

震災から数日後には全国各地より多数の医療関係者が応援に駆けつけてくれました。混乱した状況の中で災害医療本部長を小泉会長よりお願いされた釜石ファミリークリニックの寺田先生が災害本部が閉鎖するまでの数ヶ月間毎日、派遣された医療関係者を在宅医療で培われた経験を発揮し、市職員と共に適材適所に配置し情報の一元化に務めたことは価値ある行動で、応援に来られた医師会などは釜石地区の医療連携を称賛し評価してくださっております。釜石医師会での医療連携は私達には当たり前のことが他の医師会などでは真似のできないこと。その最たる事は行政との綿密な連携であるようです。

今度の災害に負けず、これを教訓として更なる釜石医師会・歯科医師会・薬剤医師会、そして行政との医療連携を構築するための手段を考えていきましょう。

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