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釜石医師会報

No.350 令和2年10月号

モナコ港「モナコ大宮殿から」

昨年の夏、南フランス旅行。その時にモナコまで足を伸ばした。モナコ公邸広場からのモナコ港景観は観光スポットであり同じような写真はネットで見ると沢山載っている。この日は天気が良く観光客が大勢いたが人影が入らない写真が撮れた。湾内には大型ヨットが隙間なく停泊し、クルーズ船がたえまなく行き来している。
 今年はどうなんだろう。 コロナの影響で観光客は減少し港に停泊する大型ヨット、クルーズ船の姿はあるのだろうか?

堀耳鼻咽喉科眼科医院  堀 晃

巻頭言

ファクターX
小笠原内科クリニック 小笠原 善郎

 新型コロナウイルスの感染者が世界で3200万人および死者が約97万人になった。特にアメリカを始め北米、中南米、ヨーロッパ、インドなどで猛威を振るったのに対し日本をはじめとするアジア、オセアニアでは感染者数、死者数とも極端に少なかった。その理由は「厚労省のクラスター対策」「マスクや入浴などの衛生意識」「BCGワクチン」など色々なことが言われているが決定的なものはなく、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥氏は何か特有の理由があるのではないかとし、これを「ファクターX」と名付けた。
 東南アジアの国々で「厚労省のクラスター対策」や「マスクや入浴などの衛生意識」が日本と同レベルで行われているとは考えにくく、BCGワクチン接種率の高いブラジルは感染者数、死亡数も高い数字だった。
 尤も新型コロナウイルスの発祥地である中国でも最初に武漢で大騒ぎになったが他の地域は意外に感染者が少なかった。感染者の少なかった他の国に共通していることは中国に近く中国人が頻繁に行き来しているところが多い。おそらくこのあたりがファクターXに関係しているものと思われる。
 数か月前に京都大学の上久保靖彦教授は集団免疫説を提唱している。インフルエンザの流行曲線および世界中の新型コロナの変異情報を記録するデータベース『GISAID』を調べたところ日本は早期にロックダウンをしなかったのが幸いしそれが集団免疫につながりその結果欧米に比べ感染者数、死亡者数が少なかったと言っている。また、最近東京理科大学の村上康文教授らは新しい抗体検査を開発しボランティア362人の新型コロナウイルスのIgMとIgG抗体を一緒に調べたところ確実な陽性は1.9%であったがIgMかつIgG抗体の軽度陽性は全員にあったとし全員がすでに感染し免疫を持っていることが示唆されると発表した。
 新型コロナ対策で最も重要なことは重症者を増やさず医療崩壊を起こさないことであるがこの感染症を終息させるには重症者対策を十分にしながら結局のところ集団免疫を達成させるしかないように思える。そしてまた、メディアなどの必要以上に恐怖を煽る報道により経済を委縮させてその結果自殺者を増やすことがあってはならないと思う。

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