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釜石医師会報

No.338 平成30年10月号

晴れやかな笑顔

 県医師会野球終了後の写真です。藤原さんの「カマイシー」の掛け声で今年も写真を撮りました。
 限りなく勝ちにこだわるも、中身にはあまりこだわらない釜石医師会野球です。

道又 衛

巻頭言

思うこと(不平等のなかの平等)
平野内科医院  平野 春人

 63.3、65.0、75.0
 何だと思いますかこの数字は?
 実はこれNETで調べた岩手医科大学医学部の偏差値であります。それぞれのサイトで異なりますが難易度が高いことに変わりはなく、他の大学も推して知るべきですがより高いところがほとんどであります。中には東大に合格したけれども私大医学部に入学したとか、東大に合格する学力があるけれども地方大学医学部に入学したなどと聞くことがあります。こうなってくると医学部に入るためにはそのようなノウハウを有している学校や塾のある都会で、幼少の頃からスタートした方がどみても有利でしょう。
 54,850から46,210、21から15、18から16
 こちらはどうでしょうか?
 これらは平成22年と平成30年のそれぞれ釜石圏の人口、県立釜石病院の常勤医、そして釜石圏の開業医の施設数になります(細かな間違いがあれば申し訳ございません)。震災の影響があるにせよこのエリアでは実に15%もの人口減少が認められております。近年地域医療の崩壊の可能性についても言われておりますが、その指標としてとらえられる県立病院の医師数は確かに減少してきております。ただそれにもまして掛かり付け医として機能すべき開業医の施設数が減少し、今後もその傾向が続くと予想されます。
 地域医療の崩壊の危機が叫ばれてから久しく、その対応の一つとして医科大学の増設など医師数の増加が試みられております。しかし増加した医師の大多数を大都会の人間が占めるとすれば、なかなか地方に定着してもらうのは難しいところです。地域の病院への勤務の義務づけが行われれば病院の勤務医の数は確保できるかもしれません。ただ自分も長年勤務医を務めていたので思うところですが、単純な病態の患者さんまでカバーすることは不可能であり、何度もこの程度なら開業の先生に見ていただいた方がお互いのためだと考えたことがあります。勤務医と開業医お互いが補完し合わなければ地域医療の機能は喪われてしまいます。
 全国どこでも平等な医療を受けられるような均等化も標榜されております。けれども実際には虚血性心疾患などの救命率を考えても都会の方が高いのが事実であり、そこには確かな医療の不平等が存在しております。
 先日騒がせたニュースとして、某医科大学で入学試験の際、女子学生や長期浪人生への点数を、結論からすれば低くつけられていたと報道がありました。そこだけを見るのであれば性差別からくる不平等なのかもしれません。けれども現場の医師の本音からすれば特に外科系に関しては女性では少々困難なところもあり、そのような意味で選別を行うことは特に私大においては理解できるところではあります。
 男性と女性、中央と地方、都会と田舎、そこには歴然とした差がありすべてを平等にすることは不可能であります。そうであれば逆に地方(田舎)に確実に残ると確約できる(勤務医としても開業医としても)人材を優遇されるのも、地方の医大として地域医療の維持に貢献する一つの手段であり、不平等の中の平等であると、田舎に住んでいるとやはり考えたくなるところであります。

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