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釜石医師会報

No.333 平成29年12月号

遠野高原冬景色

先月亡くなられた岩井利男先生の絵画を、表紙とさせて頂きました。明るい色彩の絵画を表紙として今まで選んできましたが、今回は冬の荒涼とした風景の中にも、柔らかくほのかな温もりも感じられて、岩井先生の優しさがうかがわれる、絵のように思われました。

道又 衛

巻頭言

震災から6年9ヶ月
堀  晃

 2011.3.11に起きた震災から6年9ヶ月が過ぎた。仮診療所から震災で破壊された医院を改築し1年2ヶ月後に戻り早5年が過ぎた。あっという間の5年であった。
 医院再開した時10年後の75歳まで頑張ろうと意気揚々と決意したことを覚えている。この巻頭言を書いている時に70歳になる。残りあと5年である。最近疲れている自分がいる。5年前の自分の姿と重ね合わせると雲泥の差である。あと5年経ったら引退しようかと考えている反面、妻と2人で話す事は自分たちの専門分野の医師が釜石医療圏の開業医にいない事である。今年、長年釜石医師会で産婦人科医、小児科として活躍されて来られた2人の先生が亡くなられた。両先生は80代90代迄診療を続け地域の医療を支えてこられた。両先生が亡くなられ、そのため病院の先生方に負担をかけ、釜石地域に住んでおられる患者さんが遠い地域の開業医に診療を受けに行くという不便さが起きている。
 震災前は開業医がかかりつけ医として診療し、病院の先生の負担を軽減させる方針であったが開業医も高齢化し、かえって病院の先生方に負担をかけている状況である。今年の釜石地域の就学児童は242名の予定で、年々減少が続いている。震災後若者の地元からの流出もあり医師不足だけでなく若者の人材不足も深刻であり悪循環を繰り返している。
 釜石・大槌地域を活性化する方向性を皆で考えようと思いながら具体策が思いつかない。私達の専門の先生が後継として釜石医療圏に来られる迄頑張るつもりであるが、働ける年齢は少し伸ばしても70代までである。などと具体策も持たず考えている今日この頃である

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