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釜石医師会報

No.314 平成26年10月号

釜石の医師会野球

相変わらずの釜石医師会です。前日の大会での優勝を目指した激励会の盛り上がり様といい、選手の奮闘に対する惜しみない応援団の拍手喝采といい、改めてこの医師会の楽しさが伝わってくる写真です。

道又 衛

巻頭言

負の地の利を活かす
はまと神経内科クリニック 浜登 文寿

震災から三年半が過ぎ、やっとここにきて私たちが暮らす鵜住居の街づくりが見えてきた。これから二年後に幹線道路と下水場が整備され土地の嵩上げが完了。そして、三年後には高台に小中学校が建設されるというもの。これらを踏まえ新しい診療所は教育施設に近接した所に再建したいと考えている。

理由は二つ。一つ目は、今回のような震災で小中学校が避難所として使われた時、診療所がそばにある事は避難した方の安心に繋がるだけでなく、福祉避難所へ転嫁出来る可能性があるという事。そして、二つ目は、通院するお年寄りは通学する子供のたわいない無邪気な声から元気をもらい、逆に子供はお年寄りから学ぶという「精神文化」が自然に培われると思ったからだ。

丈夫な体があり、人生の先達であるお年寄りを労わり敬い、しっかりと学ぶという道徳観がありさえすれば、将来必ず良い人材は育つはずだ。良い人材が育つ場所には自ずと人が集ってくる。

釜石で「最も津波被害が大きかった」という事は、鵜住居の「負の地の利」かもしれない。逆の発想を活かしながら街づくりを進めていく事も、震災で亡くなられた多くの方々への弔いの一つと考えている。

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