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釜石医師会報

No.331 平成29年8月号

夕陽

 新潟県村上市に夕陽のきれいな海岸があります。国の名勝および天然記念物に指定されている地域で、日本百景にも選定され笹川流れと呼ばれています。一度バイクでソロツーリングをしたときに立ち寄り、美しさに感激し娘を連れて再訪しました。実際には雲がかかっていたので、笹川流れより少し北の海岸で撮影しました。

坂下 伸夫

巻頭言

震災から6年
神林医院  神林 敦彦

 あの震災から丸6年が過ぎ、家の前にある仮設住宅団地も4月には全ての人が退去していった。新しい住宅に入った人、釜石を離れた人、又仮設を移動した人様々だったが別れは寂しいと皆さん話していた。
 静まり返った住宅地に時折役所の人が出入りし、鹿が出没し始めた7月本格的な解体工事が始まった。最初は住宅内部の備え付けの物品の取り外しなどで変化なく物音もしなかったのが、重機やトラックが入り始めたくさんの人が動き始めたとたん、あっという間に建物が壊されて無くなり、様々な材料の山に変わり産業廃棄物となって運び出されている。毎日景色が変わっている。6年の見慣れた景色が解体という作業で変わるのは人の営みがあったせいなのか一抹の寂しさも感じるが本来の現状復帰に向かうことはそれだけ復興が進んだ証でもあると思う。このあと又、元のグランドに戻り子供たちの歓声が聞こえる賑やかな場所に戻ってほしいと思っているところだ。
 町の中心部も新しい建物がどんどん建ち頭の中にあった記憶の地図が塗り替えられていくし、三陸復興道路の急ピッチな工事でこれまた色々なところで景色が変わっている。加速的に変わる景色は町の再生を表している。しかしながら、未だ仮設暮らしの方も少なくないし、元の場所に戻りたいと願い待ち続ける人もいる。あの日から時間だけは確実に過ぎて前進していると思うが、何も変わらないと思う人もいるのだろう。皆が穏やかに日常を取り戻すにはまだ時間がかかりそうだ。
 私たちも今しばらく、復興を見守りながら日々の保健医療活動という役割をはたしていきたいと思う。

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