背景色
文字サイズ標準

釜石医師会報

No.308 平成25年10月号

カキ小屋の詩

 牡蠣むき小屋は現在、北海道から広島まで、ほぼ同一規模の設計で設置され、大きな水産加工場そのものです。震災前、東京の絵の仲間を織笠のカキ小屋へ案内したところ、喜んで崩れかけた小屋を描き始めました。
 表紙の小屋は当時スケッチしたものです。廃屋に近い状態でも必死に作業をしている小屋に自分の姿を重ね合わせて描きました。

岩井 利男

巻頭言

三陸復興、いまだ道はるかなり
国立釜石病院 院長 土肥 守

 東日本大津波大震災から2年半が経過しました。がれきが撤去され、いろいろな所を歩いても以前は見かけた津波の痕跡が、草ぼうぼうの空き地以外は見つけにくくなってきましたし、ダンプカーや各種の作業車、商用車が盛んに行き来するようになって来ました。

 しかし、罹災された県立病院など、本格的な再建計画がようやく始まりそうなだけで、医療に関してはなかなか本格復興が進まないようです。当院は釜石でも山間部にありますので、津波や地震の被害はほとんどなかったのですが、被災地にあるという事で復興の波に飲み込まれてしまっております。

 と言いますのは、平成23年3月11日の午前11時に病棟の全面建て替えの許可が機構本部から下りたのですが、復興景気?の影響で資材・人件費・人材確保などの面から、各種工事の入札がずっと不調続きなのです。しかも値段の開きは、180%から220%と2倍前後で、余程のアクロバットでもして資金を確保しないと工事が始まりません。当院では23年3月以降に行えたのは予定価格の160%で建てた院内保育所だけです。これも今思えば奇跡に近いです。値段を上げれば良さそうなものですが、機構本部で厚生労働省の基準に準じて積算しますので、何回も入札を繰り返して世の中のすう勢を伝えないと分かってもらえません。そして、やっと分かった頃には手遅れになりかねません。

 この様に、公的医療機関や自治体などが行う工事に関しては、決定しても工事が始まる保証は無い事になりますので、いろいろな不利な条件の中、三陸地方に応援に来て頂いているドクターの皆さんにいつまでも負担をかける事になってしまいそうです。さらに復興住宅や街作りなども遅れますので、ますます負担が増えそうです。

 とはいえ、文句ばっかり言っていても物事は何も進みません。せめて、戦力が大幅に増強してチームワークもだんだん向上している釜石シーウェイブスを応援して、トップリーグに行ってもらう事でこの閉塞感を打破したいものです。
  頑張ろう釜石! ガンバレ!釜石シーウェイブス!

(C) Kamaishi Medical Association All rights reserved.